犯罪の誘惑に負けない子を育てるために

更新日:2017年6月15日

平成28年のアンケート調査の結果から

警察に補導等をされる非行少年の人数は、年々減少しておりますが、相手の辛い気持ちに気づかずにいじめをしたり、興味や面白半分から様々な問題行動をしてしまう少年が少なくありません。特に、子供達の多くが利用をしているインターネットは、どのような使い方をしているのかを把握するのが難しく、十分な見守りができません。
そのため、子供達自らが、「してはいけないことは、しない」、「危険なサイトは利用しない」といった強い気持ちを持てるよう、私達大人が育んでいくことが大切です。
そこで、アンケート調査の結果から、犯罪の誘惑に負けない子を育てるためのヒントを探ってみましょう。

調査の概要

実施期間

平成28年7月1日から7月20日までの間

調査対象

都内の中高生 4,969名(有効回答率95.7パーセント)

調査対象一覧表

児童・生徒
  男子 女子 小計
中学2年生 543 552 1,095
中学3年生 571 615 1,186
高校1年生 453 584

1,037

高校2年生

403

599

1,002
高校3年生 397 252 649
合計 2,367 2,602 4,969

実施方法

アンケート用紙に自記式無記名で回答

調査結果の分析方法

調査結果は、「遊んでいて、保護者と約束した時間よりも遅く家に帰る」など、中高生がしてしまいがちな11個の問題行動をどのように考えるかをたずね、「してはいけない」と答えた数が多いグループ、中間のグループ、数が少ないグループに分け、数が多いグループ(「高規範群」と表す)と、数が少ないグループ(「低規範群」と表す)を比較しました。
質問した項目は、以下の11個です。

  • けんかをして、相手を殴る
  • 人も車も通っていない道路で、赤信号を無視して道路を横断する
  • 電車の優先席に座る
  • 遊んでいて、保護者と約束した時間よりも遅く家に帰る
  • 家のお金をだまって持ち出す
  • 家族の物を無断で借りる
  • ネットで知り合った見知らぬ人と実際に会う
  • スマホを使いながら道路を歩く
  • 傘立てにあった傘を無断で借りる
  • 下校のとき、道路に広がって友達と帰る
  • お店から黙って品物を持ってくる

グループ別の得点・割合は下表のとおりです。

依存度数表
規範群(得点)
低規範群(0から6点) 中規範群(7から8点) 高規範群(9から11点)
人数

1,769人

1,571人 1,624人
構成比 35.6パーセント 31.6パーセント 32.7パーセント

校種別学年別の各規範群の占める割合は下のグラフのとおりです。
高規範群は学年が上がるごとに減少し、反対に、低規範群は学年が上がるごとに増加していることがわかります。

校種別規範意識

校種別規範意識のグラフ

  中学2年生 中学3年生 高校1年生 高校2年生 高校3年生
低規範群 27.0 30.4 37.5 39.9 49.9
中規範群 29.0 31.8 32.6 34.7 29.3
高規範群 43.8 37.9 29.6 25.2 20.8

単位はパーセント

問題行動の行動予測

中高生がしてしまいがちな問題行動9個について、自分なら

  • 「一人でもしてしまうかもしれない」
  • 「友達が一緒ならしてしまうかもしれない」
  • 「絶対にしない」

のどれにあてはまるかをたずねました。
「一人でもしてしまうかもしれない」と答えた割合が1割を超えているものは、高規範群ではありませんでしたが、低規範群では6個ありました。
「友達に誘われればしてしまうかもしれない」と答えた割合が1割を超えているものは、低規範群では7個でしたし、高規範群でも2個ありました。
問題行動の内容によっては、友達が一緒であればしてしまうかもしれないと考える者が少なくありません。

夜遅くまで友達と遊ぶ

夜遅くまで友達と遊ぶ グラフ

  友達と一緒ならしてしまう 一人でもしてしまう 絶対にしない 無回答
高規範群 25.9 1.5 72.4 0.2
低規範群 56.0 12.6 30.9 0.5

単位はパーセント

同級生の一人を仲間はずれにする

同級生の一人を仲間はずれにする グラフ

  友達と一緒ならしてしまう 一人でもしてしまう 絶対にしない 無回答
高規範群 18.9 1.3 79.7 0.1
低規範群 39.3 8.1 52.3 0.3

単位はパーセント

友達が写っている画像を無断でSNSにあげる

友達が写っている画像を無断でSNSにあげる グラフ

  友達と一緒ならしてしまう 一人でもしてしまう 絶対にしない 無回答
高規範群 8.4 2.5 89.0 0.1
低規範群 20.6 15.9 63.3 0.2

単位はパーセント

拾った千円をつかってしまう

拾った千円をつかってしまう グラフ

  友達と一緒ならしてしまう 一人でもしてしまう 絶対にしない 無回答
高規範群 7.1 5.1 87.6 0.2
低規範群 15.7 25.7 58.4 0.3

単位はパーセント

公園などで自分のゴミを片付けない

公園などで自分のゴミを片付けない グラフ

  友達と一緒ならしてしまう 一人でもしてしまう 絶対にしない 無回答
高規範群 5.2 1.0 93.6 0.2
低規範群 15.4 6.3 78.1 0.2

単位はパーセント

ネットに悪口を書く

ネットに悪口を書く グラフ

  友達と一緒ならやってしまう 一人でもしてしまう 絶対にしない 無回答
高規範群 2.8 1.7 95.3 0.2
低規範群 10.5 13.1 76.1 0.3

単位はパーセント

学校の授業をサボる

学校の授業をサボる グラフ

  友達と一緒ならしてしまう 一人でもしてしまう 絶対にしない 無回答
高規範群 2.6 1.7 95.5 0.2
低規範群 11.0 11.7 77.1 0.2

単位はパーセント

年齢を偽って成人用のサイトにアクセスする

年齢を偽って成人用のサイトにアクセスする グラフ

  友達と一緒ならしてしまう 一人でもしてしまう 絶対にしない 無回答
高規範群 2.0 1.1 96.7 0.2
低規範群 8.4 15.3 76.1 0.2

単位はパーセント

放置されている自転車に乗る

放置されている自転車に乗る グラフ

  友達と一緒ならしてしまう 一人でもしてしまう 絶対にしない 無回答
高規範群 0.8 0.0 99.0 0.2
低規範群 3.1 1.5 95.3 0.1

単位はパーセント

子供の規範意識を育てるためには

では、どのようにすれば子供に高い規範意識を持たせることができるでしょうか。

小学生の頃までの保護者との関係

小学生の頃までの保護者との関係 グラフ

  高規範群 低規範群
誕生日は家族に祝ってもらえた 93.1 88.4
保護者は話を聞いてくれた 79.3 64.9
困ったとき、保護者に助けてもらった 74.8 61.4
良いことをして保護者に褒めてもらった 73.0 60.4
理由が分からず保護者に叩かれた 1.8 4.0

単位はパーセント

高規範群の方が、幼い頃、「保護者に話を聞いてもらった」など保護者との良い関係を築ける経験を多くしています。

現在の家庭生活

現在の家庭生活 グラフ

  高規範群 低規範群
友達や学校のことを話す 85.0 73.4
家族そろって食事をする 82.4 76.5
自分から手伝いをする 64.3 46.7
保護者と喧嘩をする 58.1 65.7
自分の部屋などで一人で過ごす 51.9 69.0
保護者から一方的に叱られる 24.1 33.9

単位はパーセント

高規範群の方が、低規範群より保護者等と良い関係の中で生活しており、家庭が『居場所』になっていると考えられます。

家族のしつけ

家族のしつけ グラフ

  高規範群 低規範群
身の安全に気をつけなさい 62.8 49.0
決まりや約束は守りなさい 57.9 45.6
人には親切にしなさい 52.2 38.6
世間体の悪いことはしてはいけない 42.3 29.8
高齢者の方をいたわりなさい 30.7 19.6
勉強しなさい 51.9 49.6

単位はパーセント

「勉強しなさい」は両群とも約半数が言われていますが、他の5個のしつけは、高規範群の方が言われています。

「約束を破られた」などの悔しい思いをした経験

「約束を破られた」などの悔しい思いをした経験 グラフ

  高規範群 低規範群
友達に約束を破られた 51.7 67.8
悪いことはしていないのに保護者に疑われた 39.7 61.4
保護者に約束を破られた 28.2 53.5
ネットに自分の写真を勝手にのせられた 28.6 42.2
学校で持ち物を盗られた 27.3 45.1
保護者に嘘をつかれた 17.9 40.7

単位はパーセント

高規範群の方が、保護者や友達から「約束を破られた」などの悔しい思いをした経験が少ないです。

規範に関する考え方

規範に関する考え方 グラフ

  高依存群 低依存群
悪いことをすれば必ずばれる 61.3 31.8
正直者は得をする 41.3 15.9
決まり等を守る人は周囲から好かれる 40.0 18.8
同じ学校の生徒は決まり等を守っている 28.4 15.4
たいていの人は誰もいなくても悪いことはしない 27.5 10.5

単位はパーセント

高規範群の方が、決まりを守るメリットや、「たいていの人は決まりを守っている」などの思いを強く持っています。

良くないことをするときに想定する気持ちなど

良くないことをするときに想定する気持ちなど グラフ

  高規範群 低規範群
嘘をつくと気分が落ち込む 39.5 18.4
禁じられていることをしようとするとドキドキする 37.7 23.5
イライラ等を家族や友達にぶつけて後悔した 32.9 22.8
家庭のルールを破っても気にならない 3.6 7.3
友達との約束を破っても気にならない 3.8 3.7

単位はパーセント

高規範群の方が、良くないことをして後悔したなどの経験が多く、良くないことをするときに嫌な気持ちを想像します。

将来の目標や「こうありたい」とい気持ち

将来の目標や「こうありたい」とい気持ち グラフ

  高規範群 低規範群
将来の目標を持ちたい

72.0

63.3
困った人を助けられる人間になりたい

62.8

44.7
周囲の人から信頼される人間になりたい 61.5 45.4
真面目よりも面白い人と思われたい 22.9 32.8
大人になるより、子供のままでいたい 14.4 25.6

単位はパーセント

高規範群の方が、将来「こうありたい」という気持ちが強く、低規範群は「子供のままでいたい」が4分の1を占めます。

少年が考える「非行などをしない理由」

少年が考える「非行などをしない理由」 グラフ

  高規範群 低規範群
家族を悲しませるから 31.9 19.2
被害者に迷惑をかけるから 24.1 17.3
法律で罰せられるから 22.7 41.3
将来がダメになるから 21.3 22.2

単位はパーセント

高規範群の方が、「家族を悲しませる」などの他者の気持ちへの配慮を選んでいるのに対して、低規範群は、自分のことを考え、罰などのデメリットを理由としています。

まとめ

規範意識の低い少年は、保護者や家族から約束を破られるなどの悔しい思いをしている少年が多く、それが、決まりやルールを守る人が少ないなどの、周囲の人に対する見方を作ってしまったのではないかと考えられます。
一方、高規範群の少年は、幼少期も、今も、家族との関係が良好であることから、家族を思いやる心が育まれ、さらに、周囲の人たちにも心配りをする態度が形成されたように考えられます。その結果、悪いことをしようとすると、気分が落ち込むとかドキドキするという思いが浮かんだり、保護者を悲しませる等の思いが、低規範群の少年より浮かんでくるのではないかと考えられるのです。

家庭の基本的な役割として、

  • 社会人としてのモデルとなる
  • 社会のマナーやルールをしつける
  • 安心して心が和らぐ場を提供する

の三つがあります。

保護者が、

  • 子供に約束やルールを守る姿を示し(モデル)
  • 社会のマナーやルールをしっかりと教え(しつけ)
  • 家庭が子供にとって居場所となって(心が和らぐ場を提供)

子供と保護者の強い絆から他者を思いやる心を育むことができれば、子供はどんな誘惑にも、「してはいけないことは、絶対にしない」という強い心を身につけてくれると思います。

情報発信元

警視庁 少年育成課 少年相談係

電話:03-3581-4321(警視庁代表)