Professional Episode

Episode
01

揺るぎない証拠をつかみ、
あおり運転の
犯人を検挙せよ。

  • 専門知識と高度な技術を駆使した交通捜査
  • 誰よりも早く現場に臨場
  • あおり運転は許さない

平成31年3月、都内某所においてタクシーと乗用車が衝突する交通人身事故が発生。乗用車の運転手はタクシー運転手にけがを負わせたにもかかわらず、通報や救護の対応を行わず現場から逃走した。交通事故として110番通報を受け、臨場した捜査員は、タクシーのドライブレコーダーの映像を解析し、「危険運転致傷罪」の可能性があると判断し、全容解明のための捜査に動き出した。

PROJECT MEMBER

交通捜査課
交通事故事件捜査第一係 警部補
2002年入庁 大阪府出身

葛飾警察署
交通捜査係 巡査部長
2001年入庁 東京都出身

葛飾警察署
交通捜査係 巡査長
2016年入庁 千葉県出身

01

事故発生。捜査開始。

最初に事件の捜査を担当したのは、葛飾警察署交通捜査係だ。タクシーのドライブレコーダーには、乗用車が強引にタクシーの前へ割り込んだ上、急ブレーキを踏んだことで事故が起こった様子が記録されていた。偶発的に発生した交通事故ではなく、「あおり運転」によるものであることは明らかだった。さらに、ドライブレコーダーは乗用車の運転手が救護義務を放棄し、その場から逃走していく姿を捉えていた。

02

逃走車両を特定。
被疑者へと迫る。

事故現場では、衝突の証拠となる車両の破損や剥がれた塗料などを採取するため、入念な鑑識活動が行われた。一方、署ではドライブレコーダーの映像を解析した結果、被疑車両の車種と車両ナンバーを識別することに成功。また、科学捜査研究所に被疑者の顔の鑑定を依頼するなどして被疑者を特定した。しかし同時に、他部署からの情報によって、被疑者はふだんから粗暴な言動で地元では有名な人物であることも分かった。「被疑者の身柄を確保する際、抵抗するかもしれない」。現場の捜査員たちに緊張が走った。

さらに捜査の進展を阻んだのは、事件関係者たちが事故に関する証言について示し合わせたように口を閉ざしたことだった。防犯カメラの解析によって、タクシーの乗客たちと被疑者が顔見知りであることが判明したのだが、乗客を聴取してみると、被疑者をかばい不利になるような証言をしなかったのである。それでも粘り強く説得するとともに、裏付け捜査を続け、令和元年9月に被疑者の男を危険運転致傷罪の容疑で逮捕し、管轄警察署へと連行した。

03

揺るぎない証拠を
つかむために。

逮捕後の取調べで、被疑者はタクシーの前に割り込んだことは認めたものの、故意ではなく「相手がぶつかってきた。急ブレーキを掛けていない」と自分に過失がないことを主張した。このため捜査員は、被疑者の運転が故意によることを立証するべく裏付け捜査を開始した。「被疑者や関係者から証言を得られないなら、客観的な証拠を集めて立証するしかない」。捜査員たちは、タクシーが発車した繁華街まで捜査範囲を広げ、改めて現場周辺の防犯カメラが捉えた映像をすべて洗い出し、検証を進めていった。

撮影記録の中から被疑者たちが移動した経路に沿って時系列に示していけば、揺るぎない証拠をつかむことができる。しかし、膨大な映像データをパッチワークのようにつなぎ合わせることは容易ではなく、作業はこれまでにない集中力と根気強さを求められることとなった。それでも捜査員たちの妥協することのない緻密な解析作業が実を結び、被疑者の車両がタクシーを後方から追跡して事故を発生させるまでの一連の様子を客観的に明らかにすることができた。

04

執念の捜査で
被疑者を追いつめる。

一般の交通事故と異なり、危険運転致傷罪を適用させるには、故意に相手車両の通行を妨害したことの立証が不可欠であり、防犯カメラの解析作業が重要な客観的証拠となる。交通鑑識の画像解析システムにより、被疑車両の走行速度と挙動、タクシーの前に割り込んだ時の車間距離を算出できたことで、明確な故意による犯行であることが立証できた。

こうした客観的な証拠により、当初は自らの犯行を認めなかった被疑者もついに観念し、自供した。

現場の捜査員一人ひとりの熱意と本部の高度な捜査技術が歯車のようにしっかり噛み合った結果、悪質なあおり運転被疑者を検挙することができた。

被害者の無念を晴らし、事件の真相を明らかにするため、今日も交通捜査のプロフェッショナルたちは道路に残された証拠を集め、事件の真相解明に取り組んでいる。