プロジェクトストーリー

職種紹介

Professional Episode03

山岳遭難者
13名を救助せよ。

平成30年3月21日。東京の都心部では既に桜が開花していたが、
その一方で季節外れの大雪が関東地方を覆っていた。
そんな中、奥多摩駅から三頭山を目指して入山した13名による登山グループが
下山中に遭難したという110番が入電した。

PROJECT MEMBER

  • 青梅警察署 地域第三係 栃久保駐在所
  • 災害対策課 特殊救助隊 実施班
  • 航空隊 特務係

01

真っ先に駆けつけた
山岳救助隊

「13名のパーティが三頭山からヌカザス山方向へ下山中に動けなくなっている」110番通報が入電したのは午後8時前のことだった。13名の登山グループの遭難。その通報を受けた青梅警察署山岳救助隊員8名はすぐさま装備を整え、山岳救助隊の拠点である奥多摩交番に集結した。最初に、山岳救助隊員4名が第1班として三頭山に入山し、遭難者の捜索・救助を行うこととなった。第1班は直ちに三頭山に入山し、最短距離で救助に向かい、午後10時前には、通報のあった地点まで400~500メートルという所まで到達した。しかし、第1班の行く手を急峻な谷が阻んだ。一刻も早く遭難者と接触するためには、谷を越える必要があったが、水分を含んだ積雪は滑りやすく、夜間ということもあって谷越えは危険と判断。やむを得ずルートを変更しながら捜索を続け、午前2時過ぎ、ついに遭難者らと接触した。

02

特殊救助隊への
出動要請

第1班が遭難者と接触したことで、徐々に現場の状況が明らかになっていった。遭難者グループが別々の場所で行動不能になっていること、まだ見つかっていない遭難者がいること、滑落による負傷者や低体温症による重症者が多数いることなど、事態は想像以上に深刻だった。しかし、その現場の状況は無線を通して災害対策課特殊救助隊にも送られており、隊員たちは次々飛び込んでくる情報を一つひとつ頭に入れながら事前準備を進め、出動の時を待っていた。そして午前3時過ぎ、特殊救助隊に出動命令が下され、待機していた6名が現地へと向かった。特殊救助隊が到着するまでの間、青梅警察署山岳救助隊でも第2班、第3班が編成され、先に第2班の2名が入山し、遭難者の救助に向かった。特殊救助隊が入山したのは、午前6時過ぎだった。既に雪は止んでいたものの、山は真っ白な霧に包まれていた。レスキューのエキスパート部隊である特殊救助隊であっても、積雪と霧によって視界が真っ白となった山道では、目的地を見失う可能性があった。そんな中で先導役となったのが、第3班として特殊救助隊の到着を待っていた2名の山岳救助隊員だった。彼らは平時から山に入り、地形はもちろん登山道のわずかな窪みまで熟知している。山岳救助隊員の先導により、特殊救助隊は迷うことなく、遭難者の元へ向かうことができた。

03

多数いる重症者の
救護措置

一方現場では、低体温症で意識が朦朧としている少年や、滑落によって頭部や頸椎を負傷して動けない女性など、多数の要救助者がいた。現場に到着した第2班は、すぐに湯を沸かして湯たんぽを作り、体温を確保するためのエマージェンシーシートで要救助者の体を包みながら、意識を失わないよう必死に声を掛け続けた。その頃、立川にある警視庁航空隊でも、パイロットや救助を行う特務員が早朝から待機していた。現場の状況から、重症者を搬送するためにヘリコプターが必要とされる可能性があったからだ。しかし、その日は雲のため視界が悪く、風も強い。ヘリコプターの飛行が可能か否かギリギリの判断を迫られていたが、午前10時頃、ついに航空隊に出動命令が下され航空隊員5名は「おおとり6号」に乗り込み現場へ急行した。

今回の捜索救助活動における関係図

04

悪天候の中で行われた
ホイスト救助

「ヘリが来るぞ!」救助現場でその一報を聞いた救助隊員たちは、急いで木々が密集していない場所を選定し、要救助者をヘリに引き上げるための場所を確保した。午前10時10分、「おおとり6号」が現場上空に到着。航空隊員が上空から地上へ降下し、山岳救助隊員らと連携しながら要救助者の引き上げ救助に取り掛かった。風が強く吹き付ける中での難しい作業だったが、航空隊員の巧みな救助技術により、無事計3名の要救助者の引き上げ救助を完了、分厚い雲がパイロットの視界を覆う悪天候の中でも動じることなく、「おおとり6号」は無事ヘリポートに帰還した。3月22日午前11時30分、ヘリで搬送された要救助者を含む遭難者13名は、誰一人命を落とすことなく救助された。そこには、人命救助という一つの目的のため、部署を越えて連携したプロフェッショナルたちの活躍があった。